クリノキングオー  [ Home >> B&B >> 2000年クラシック牡馬編 ]

2000年のクラシック候補生たちを中島理論的に分析していこうという企画です。
第20回目の今回は若葉S(OP)の勝ち馬、クリノキングオー号を分析してみましょう。

以下の文章中、クリノキングオーは本馬と称します。4代血統構成において父は壱、母父は弐、祖母父は参、曾祖母父は四と表します。


クリノキングオー   牡   鹿毛   1997.4.17生   栗東・谷潔厩舎   Family No.4-R

[戦績]
若葉S(OP)1着。4月3日の時点で3戦2勝。

[血統]
父は米国産のキンググローリアス(1986.2.6)。現役時代の主な勝ち鞍はハリウッド・フュチュリティ(米GI)、ハスケル招待H(米GI)、オハイオ・ダービー(米GII)、ハリウッド・ジュヴェナイル選手権(米GII)、ハリウッド・プレビューS(米GIII)で重賞5勝。通算成績は9戦8勝。同馬はJRAが輸入し、現在、社団法人日本軽種馬協会胆振種馬場で供用中。2000年の種付け料は200万円ということです。同馬の7代残牡先祖数は『9/64(推定)』と少なく、名種牡馬に成り得る数値です。代表産駒に桜花賞&オークスの両トライアル(共にGII)を制したマックスキャンドゥ(1995.5.20)、NHK杯(GII)等重賞を4勝したナムラコクオー(1991.5.6)、デイリー杯3歳S(GII)の勝ち馬でダービー2着のボールドエンペラー(1995.4.28)等々。同馬の産駒は2歳戦に強く、93年には日本3歳リーディングサイアーに輝きました。本馬は父の7年度産駒となります。

まったく余談ながら、私が、1998年のオークスでマックスキャンドゥから大勝負して、大負けしたのは内緒です(←内緒になっていない)。いや、だからトライアル血統なんやって……。

母はミルフォードミドリ(1985.4.11)。現役時代は23戦4勝(うち障害3戦1勝)。牝系は昭和5年(1930年)に社台牧場(白老)が米国より輸入したソネラ(1919)系の第四ソネラ(1936)分枝。牝系近親にオークストライアル(GII)、中山牝馬S(GIII)等の勝ち馬ユキノローズ(1982.3.3)。同牝馬の仔に東京ダービー馬グレイドショウリ(1989.3.30)、中日スポーツ賞3歳S(GIII)3着馬エヌティウイナー(1990.4.1)等。ソネラ系の別分枝である第三ソネラ(1934)分枝は現在活性のボトムラインのひとつで、近年の活躍馬にメジロブライト(1994.4.19)、クリールサイクロン(1995.4.14)、ボディーガード(1991.4.4)、ラガーレグルス等がいます。

本馬の8代残牡先祖数は『12/128』と推定します。4代血統構成を見ると、壱はキンググローリアス、弐はマラケート(1973)、参はモバリッズ(1971)、四はファラモンド(1957)です。壱の直祖父はMr.Prospector(1970.1.28)。同馬はその父Raise a Native(1961)の0遺伝とマイノリティを持って、世界的大種牡馬となりました。壱の父であるNeavus(1980)は、サンフェリペH(米GII)&サンラファエルS(米GIII)2着等、通算8戦2勝のマイナー種牡馬。弐は、いまや希少価値となったSwynford(1907)系の種牡馬。代表産駒に有馬記念馬リードホーユー(1980.4.21)、JRA史上初のせん馬の重賞−ダイヤモンドS(GIII)−勝ち馬ノースシャトル(1984.5.6)等。参は愛国産でHyperion(1930.4.18)系のスプリンター種牡馬。現役時代はアベイユ・ド・ロンシャン賞(仏GII=当時)、プチ・クヴェール賞(仏GIII)等を勝ち、通算12戦7勝。代表産駒にCBC賞(GIII=当時)、阪急杯(GIII)等を勝ったセントシーザー(1982.4.15)、小倉大賞典(GIII)3着馬クリノテイオー(1985.4.15)−同馬は第56代日本ダービー馬ウィナーズサークル(1986.4.10)の兄−等。また、母の父としてバンブーメモリー(1985.5.14)、バンブーゲネシス(1989.5.21)兄弟を輩出。四はSt.Simon(1881)系の種牡馬。同馬は、その父Sicambre(1948)の8歳時交配による『0の遺伝』を受けた種牡馬です。代表産駒に第42代日本ダービー馬カブラヤオー(1972.6.13)、南関東三冠馬ゴールデンリボー(1972)、第1回ジャパンカップ(現GI)で日本馬最先着の5着となったゴールドスペンサー(1976)等々。

4代血統構成馬の父系分枝状況に目を向けると、
壱  Birdcatcher(1833)の16代孫
弐  Birdcatcherの11代孫
参  Whalebone(1807)の13代孫
四  Eclipse(1764.4.1)の16代孫

壱と参と四が分枝後12代以上を経ていますので、ネオ異系マジックが『3』生じます。異系マジック(もしくはネオ異系マジック)が『3』である時、指数補正値が『0.25』となるのかどうか定かではありません。今回は『0.25』としておきます。ゆえに本馬の潜在能力指数は『3』と補正されます−指数補正値が『0.5』ならば、潜在能力指数は『6』です−。Eclipse系が全盛の当代において、4代血統構成馬がすべてEclipse系であることは当たり前のことですが、本馬のように別分枝が3系揃うということはかなり希なことだと思います。なお、本馬の8代血統構成中にNorthern Dancer(1961.5.27)の姿はありません。さらに、Phalaris(1913)系とSterling(1868)系の配合は、『血とコンプレックス』によると、ニックス配合ということです。

本馬の活力の源泉は、牝系の底力&勢い、そして血統構成(ネオ異系マジック3本持ち&Northern Dancerを持たない&ニックス配合)にあると考えます。

本馬の最優性先祖は祖母父モバリッズ(4歳時交配で活性値1.00)です。形相遺伝は祖母ピンクキャッチャ(1976)と判断します。また、本馬の料的遺伝の値は5.75(もしくは3.75)です。母ミルフォードミドリ(1985)と祖母ピンクキャッチャ(1976)との間において、料的遺伝値の受け渡しが『0.00』で行われたか『2.00』で行われたか定かではありません。マイナー血脈ファンとして期待感を込めて、今回は『2.00』で行われたとしておきます。本馬の5.75という料的遺伝の値は、オープン馬として最上級クラスにあります。

[最後に]
ソネラを祖とする牝系は日本在来血統の嚆矢として現在も繁栄中です。本馬、クリノキングオーは更なる繁栄の一翼となれるでしょうか。頑張って欲しいと思います。


B&B  目次へ戻る
中島理論コラムのページ  Homeへ戻る