ラガーレグルス  [ Home >> B&B >> 2000年クラシック牡馬編 ]

2000年のクラシック候補生たちを中島理論的に分析していこうという企画です。
第1回目の今回はラジオたんぱ杯3歳Sの勝ち馬、ラガーレグルス号を分析してみましょう。

以下の文章中、ラガーレグルスは本馬と称します。4代血統構成において父は壱、母父は弐、祖母父は参、曾祖母父は四と表します。


ラガーレグルス   牡   青鹿毛   1997.5.2生   栗東・大久保正陽厩舎   Family No.4-R

[戦績]
ラジオたんぱ杯3歳S(GIII)、野地菊S(OP)、デイリー杯3歳S(GII)2着。3月8日の時点で7戦3勝。

[血統]
父はサクラチトセオー(1990.5.11)。同馬は、2000年3月10日に急逝した名種牡馬トニービン(1983.4.7)の初年度産駒です。天皇賞・秋(GI)、AJC杯(GII)、中山記念(GII)、京王杯AH(GIII)の勝ち馬(通算21戦9勝)。本馬は父の初年度産駒、及び最初の重賞勝ち産駒となります。

母はレインボーパーク(1984.4.16)。現役時代は未勝利(通算4戦0勝)。本馬は母の7番仔となります。牝系は昭和5年(1930年)に社台牧場(白老)が米国より輸入したソネラ(1919)系の第参ソネラ(1934)分枝。現在活性の日本在来牝系のひとつで、近年の活躍馬にメジロブライト(1994.4.19)、クリールサイクロン(1995.4.14)、ボディーガード(1991.4.4)等がいます。本馬のいとこには1996年のクイーンSの勝ち馬、レインボークイーン(1993.5.12)がいます。本馬の曾祖母ヒサエ(1954)は、ヒンドソネラ(1960)、ヒガシソネラオー(1962)、ネイチブランナー(1963)、ビッグソネラ(1966)、エクセルラナー(1971)等5頭のオープン勝ち馬を生み出した名繁殖牝馬です。

本馬の8代残牡先祖数は『16/128』と推定します。4代血統構成を見ると、壱はサクラチトセオー、弐はドン(1966.5.3)、参はテスコボーイ(1963.1.??)、四はプリメロ(1931)です。壱、弐、参の3者はNasrullah(1940.3.2)系に属します。特に壱と弐はGrey Sovereign(1948)からの分枝どうしです(本馬はGrey Sovereignの6×3のインブリードを持ちます)。しかし壱の直系4代父、ゼダーン(1965)がGrey Sovereignの16歳時交配による『0の遺伝』を受けているため、インブリードによる弊害は生じません。さらに言えば、本馬の母レインボーパークは弐の17歳時交配(活性値0.25)で生産され、弐はその父Grey Sovereignの17歳時交配(活性値0.25)で生産されたため、その乗算活性値は0.25×0.25=0.0625という極めて0に近い値となり、母方にあるGrey Sovereignは準0化されます。壱と弐の父系の『0の遺伝』により、Grey Sovereignの父、Nasrullahのインブリードによる弊害も生じません。四はBlandford(1919.5.26)系でかつての人気種牡馬。ミナミホマレ(1939)、トサミドリ(1946.5.20)、クモノハナ(1947.3.15)、クリノハナ(1949.5.18)、ヤシママンナ(1950.4.3)、ケゴン(1952)等の父として知られます。

4代血統構成馬の父系分枝状況に目を向けると、
壱  Grey Sovereignの5代孫  (Birdcatcher(1833)の17代孫)
弐  Grey Sovereignの直仔  (Birdcatcherの13代孫)
参  Nasrullahの孫  (Birdcatcherの13代孫)
四  Birdcatcherの8代孫

いずれもがBirdcatcher分枝の同族圏内馬による構成です。ゆえに本馬の異系マジックはありません。しかしながら、四のプリメロの生年が1931年と極端に古い世代です(本馬の曾祖母ヒサエは1954年生まれで、プリメロの22歳時交配生産馬)。現在、プリメロの血を4代血統構成内に持つ馬は非常に珍しく、この血は『アンティーク』と判断します。なお、壱の母父に、Northern Dancer(1961.5.27)の直仔であるノーザンテースト(1971.3.15)がいますが、4代血統構成以外の位置ですので影響力は薄いものと考えます。

本馬の活力の源泉は、父の初年度産駒であることと、プリメロの血にあると考えます。

本馬の最優性先祖は父サクラチトセオー(6歳時交配で活性値1.50)です。形相遺伝はサクラチトセオーと判断します。本馬は顔が父とよく似ていると思います。サクラチトセオーの形相遺伝はその父トニービンと思います。ヨーロピアンタイプの『形』が出ていますので、おそらく直線の長い競馬場が合うのではないでしょうか。また、本馬の料的遺伝の値は4.50です。オープン馬として平均クラスの体力を持っていると思います。

[最後に]
中島氏の見解−『競馬最強の法則』誌、1999年8月号、P24参照−では、本馬の父サクラチトセオーがメジャー種牡馬(トニービン)の仔であることによる産駒の闘争本能低下を懸念されていました。確かに、氏の心配はごもっともです。内国産種牡馬の育つ土壌が無いに等しい日本の馬産の現状ですか……。

しかし、それでもラガーレグルスには頑張って欲しいと思います。GI1勝の内国産種牡馬からは、比較的「向上心」のある産駒が生まれると思いますので。父の末脚が炸裂した府中や中山の舞台で、父と同じようにその豪脚を披露して欲しいものです。

[追記]
共同通信杯4歳S……。−2000年2月13日、追記−

弥生賞。向こう正面の行きっぷりがちょっと悪かったですね。直線入ってからの追い上げは見所があったのですが。皐月賞での巻き返しを期待します。どちらかというと府中向きだとは思いますが。−2000年3月8日、追記−

皐月賞はレースにならず、ダービーには出られず……。悲しいかな、気性に難しいところが残ります。秋には克服した姿を見せてください。お願いします。−2000年7月1日、追記−


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