Acatenango 栗毛 1982 種付け時活性値:1.75 |
Surumu 栗毛 1974 |
★Literat 鹿毛 1965 |
Birkhahn 1945.3.4 |
Lis 1960 ♀ | |||
Surama 黒鹿毛 1970 |
Reliance 1962 | ||
Suncourt 1952 | |||
Aggravate 鹿毛 1966 |
Aggressor 鹿毛 1955 |
Combat 1944 | |
Phaetonia 1945 | |||
Raven Locks 青毛 1945 |
Mr.Jinks 1926 | ||
Gentlemen's Relish 1926 | |||
Laurea 鹿毛 1983 仔受胎時活性値:1.50 |
Sharpman 栗毛 1976 種付け時活性値:1.50 |
Sharpen Up 栗毛 1969 |
エタン 1961.3.14 |
Rocchetta 1961 | |||
Miss Manon 鹿毛 1970 |
ボンモー 1963.3.12 | ||
Miss Molly 1965 | |||
Licata 鹿毛 1973 仔受胎時活性値:0.25 |
Dschingis Khan 鹿毛 1961 種付け時活性値:0.75 |
★Tamerlane 1952 | |
Donna Diana 1956 | |||
Liberty 鹿毛 1966 仔受胎時活性値:1.50 |
Birkhahn 鹿毛 1945 種付け時活性値:1.00 |
||
Lis 鹿毛 1960 ♀ 仔受胎時活性値:1.25 |
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
Acatenango (Bay Ronald系) |
Sharpman (Native Dancer系) |
Dschingis Khan (Blandford系) |
Birkhahn (Bay Ronald系) |
父の活性値 | 母父の活性値 | 祖母父の活性値 | 曾祖母父の活性値 |
1.75 (7歳時交配) |
1.50 (6歳時交配) |
0.75 (11歳時交配) |
1.00 (20歳時交配) |
父の分枝状況 | 母父の分枝状況 | 祖母父の分枝状況 | 曾祖母父の分枝状況 |
Birkhahnの3代孫 | Birdcatcherの15代孫 | Birdcatcherの11代孫 | Birkhahn自身 |
8代残牡先祖数 | 4代血統構成 (資質固定指数) |
潜在能力値 | 少ない先祖etc |
---|---|---|---|
21/128 | C x F ◆C (0.33) |
6.93 | Acatenango Sharpman Dschingis Khan |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 何番仔? |
Acatenango | 4.50 | 半弟も独ダービー馬 (No.7-B) |
2番仔 (不受胎後) |
潜在能力値は数値が少ないほど大きいことを示しています。
『2400mのプロフェッショナル』ランド。世界4ヶ国を転戦してやって来た独ダービー馬ランドが、上がり3ハロン34秒8の末脚を繰り出し、独国馬として初めてジャパンカップを制しました。ナリタブライアン、ヒシアマゾンという2枚看板でジャパンカップ4連勝を目指した日本勢でしたが、2400mのGIレース5勝の強豪の前に後塵を拝してしまいました。ランドの鞍上は『南アフリカ出身の英国首位騎手』マイケル・ロバーツ騎手、所属は独国のハインツ・イエンチ厩舎。両者ともにジャパンカップ初勝利でした。レースの2着にはヒシアマゾン、3着には前年4着の仏ダービー馬エルナンドが入りました。
ランドの4代血統構成は、『Hampton系×Native Dancer系×Blandford系×Hampton系』となっています。Native DancerをPhalaris系とするならば、Hampton系とPhalaris系のニックス配合となります。アイネスフウジン、ウィナーズサークル、カミノクレッセなどがこのニックスによる活躍馬です。4代血統表で目に付くのは、やはり直父系3代父Literatと直牝系3代母Libertyの『全兄妹クロス』でしょうか。Literatは直仔Surumuに8歳時種付けによる0の遺伝を与えています。ゆえに、この全兄妹クロスは近親弊害を起こすことなく、先祖の数を減らして資質の固定化に成功しています−しかし、『8代残牡先祖数理論』的には『21/128』と多くの先祖が残る配合となっています−。さらに、4代血統構成馬の活性値を見ると、『1.75、1.50、0.75、1.00』ですべてが別数値となります。この活性値の違いが、知的素質の向上に一役買っています。
1993年の日本ダービー馬ウイニングチケットの項で、その父トニービンについて述べました。トニービンは愛国産ながら伊国でGI5勝を挙げました。繰り返し上梓しますが、
イタリア、ドイツの競馬場は右廻りのトラック・コースで日本の芝馬場にもっとも似ている。
−中島国治著、『血とコンプレックス』(KKベストセラーズ)、P274より抜粋。−
ランドは、前述した通り独国生まれの独国馬です。JCを含めたGI6勝の内訳を見ると、3歳時は独ダービー−開催場であるハンブルグ競馬場のコースレコード勝ち(2分26秒80)−、独国の伝統GIであるバーデン大賞を勝ちました。4歳時は前年に引き続きバーデン大賞、そして伊国のジョッキークラブ大賞を勝ちました。5歳時は日本のJC、伊国のミラノ大賞、独国のメルクフィンク銀行賞を勝ちました。まとめると独国3勝、伊国2勝、日本1勝となります。やはり、独国馬は日本馬場に適性があるようです。中島氏が『血とコンプレックス』内で例に挙げられた1987年のJCの勝ち馬、仏国馬ルグロリュー(英国産)にしても、米国GI1勝、独国重賞3勝(GI、GII、GIII各1勝)でトラックコース得意の馬でした。
ランドの牝系は、独国で受け継がれている7号族。母Laurea(愛国産)は英国で0勝。ランドは不受胎後の2番仔となります。ランドの1歳年下の半弟Larocheも、ランドと同じく独ダービー馬です。祖母Licata(独国産)は独国で3勝を挙げ、独1000ギニー(GIII)を勝ちました。Licataの初仔であるBrigataの孫に、ベルギーGIであるエドモン・ドラグマン賞を勝ったLano、同じくベルギーGIであるグラン・クリテリウム、ベルギー2000ギニーを勝ったBossakaが出ました。Laureaは3年連続不受胎後の3番仔となります。曾祖母Liberty(独国産)は独国で2勝。Licataは3番仔となります。余談となりますが、ボトムラインをよく見ると、繁殖牝馬の名前の頭文字はすべて「L」で始まっています。独国の生産馬は母親の名前の頭文字を代々受け継いでいきます。ランドの場合は、8代母Lovely Naplesから綿々と「L」の頭文字が受け継がれてきました。
直牝系ではないですが、直父系祖父Surumuの祖母にSuncourtの名前が見えます。どこかで見た名前ですよね。そう、日本の名種牡馬テスコボーイのお母さんがSuncourtです。さらに母父Sharpmanの直父系祖父がエタン、母父がボンモーとなっています。遠い異国のように思える独国でも、サラブレッドの血統はちゃんとつながっているのですね。
ランドは自身が独ダービー馬です。父Acatenangoも独ダービー馬です。さらに祖父Surumuも独ダービー馬です。どのような『マジック』を使われているのか分かりませんが、独国の生産者の方々は「ダービー馬はダービー馬から」という格言を見事に実現されています。独国のサラブレッドの年間生産頭数はおよそ1500頭程度です。その少ない生産頭数の中から、世界レベルにある馬を輩出できるということ。やはり欧州の懐は深いです。