エアシャカール  [ Home >> B&B >> 2000年クラシック牡馬編 ]

2000年のクラシック候補生たちを中島理論的に分析していこうという企画です。
第18回目の今回はホープフルS(OP)の勝ち馬、エアシャカール号を分析してみましょう。

以下の文章中、エアシャカールは本馬と称します。4代血統構成において父は壱、母父は弐、祖母父は参、曾祖母父は四と表します。


エアシャカール   牡   黒鹿毛   1997.2.26生   栗東・森秀行厩舎   Family No.4-R

[戦績]
ホープフルS(OP)1着、弥生賞(GII)2着。3月10日の時点で5戦2勝。

[血統]
父は米国産のサンデーサイレンス(1986.3.25)。同馬は、3頭の日本ダービー馬−スペシャルウィーク(1995.5.2)、アドマイヤベガ(1996.3.12)、タヤスツヨシ(1992.4.26)−をはじめとする合計12頭のGI勝ち馬を輩出し、他に重賞勝ち馬が多数。2000年の弥生賞(GII)の勝ち馬フサイチゼノンも同馬の産駒。1995年〜1999年、日本リーディングサイアー。同馬は、その父Halo(1969.2.7)の16歳時交配による『0の遺伝』を受けた名馬です。現役時代の成績は14戦9勝、2着5回。主な勝ち鞍にケンタッキー・ダービー(GI)、プリークネスS(GI)、ブリーダーズカップ・クラシック(GI)等。本馬は父の6年度産駒となります。

母はアイドリームドアドリーム(1987.3.31)。同馬は輸入繁殖牝馬。本馬は母が不受胎後の3番仔となります。本馬の姉にクイーンS(GIII)の勝ち馬でオークス(GI)2着のエアデジャヴー(1995.3.27)。牝系は、Sunny Vale(1946)系。同牝系からは日本で名種牡馬となったブライアンズタイム(1985.5.28)、そのいとこにあたる輸入種牡馬サンシャインフォーエバー(1985)、トップフライトH(GI)の勝ち馬Andover Way(1978)、ドワイヤーH(現GI)の勝ち馬Gleaming Light(1966)等が輩出されています。

本馬の8代残牡先祖数は『8/128』と推定します。4代血統構成を見ると、壱はサンデーサイレンス、弐はWell Decorated(1978)、参はGleaming(1968)、四はRibot(1952.2.27)です。弐と四が『0の遺伝』を与えています。壱、弐はNearco(1935.1.24)系の種牡馬。壱と弐どちらの先祖もNearcoの『0の遺伝』を与えているため、本馬のNearcoクロスは弊害なく先祖の数を減らしています。弐はNasrullah(1940.3.2)系の種牡馬。現役時代の主な勝ち鞍にアーリントン・ワシントン・フュチュリティ(GI)等。通算16戦6勝。代表産駒に京成杯3歳S(現京王杯2歳S、GII)の勝ち馬ゴーゴーナカヤマ(1992.1.30)、米国のGII勝ち馬Notebook(1985)、Notation(1986)等。参はHerbager(1956)の直仔。同馬の近親に豪GI勝ち馬Prowl(1995.9.30)。四はかのフェデリコ・テシオが生産した16戦全勝馬。凱旋門賞(現GI)を2連覇するなど1950年代を代表する世界的名馬。代表産駒に親仔2代の凱旋門賞制覇を成し遂げたプリンスロイヤル(1961)、米国で名種牡馬となったTom Rolfe(1962.4.14)やGraustark(1963)、ベルモントS(現GI)を勝ったArts and Letters(1966.4.1)等々。日本の同父系の種牡馬に第49代日本ダービー馬バンブーアトラス(1979.4.27)、JC2着馬アレミロード(1983.3.29)等。ちなみに、本馬の姉のエアデジャヴーの8代残牡先祖数は『7/128』です。

4代血統構成馬の父系分枝状況に目を向けると、
壱  Nearcoの5代孫
弐  Nearcoの4代孫
参  Whalebone(1807)の13代孫
四  Eclipse(1764.4.1)の15代孫

壱と弐はNearco系の近親で同属圏内馬。参がWhaleboneの13代孫、四がEclipseの15代孫。この両馬は分枝以後12代以上経ていますので、参と四にネオ異系マジックが生じます。本馬のマジックは『2』となります。ゆえに本馬の潜在能力指数は『4』と補正されます。母方の近い代で『0の遺伝』を与えた先祖が存在することにより、本馬の潜在能力は強大なものになりました。なお、本馬の血統構成にNorthern Dancer(1961.5.27)の姿はなく、Native Dancer(1950.3.27)は弐の0交配により0化されます−弐のWell Decoratedの母父がMajestic Prince(1966、Native Dancerの直孫)であることによる−

本馬の活力の源泉は、8代残牡先祖数の少なさと、血統構成の良さ(Northern Dancerの血を持たない事とNative Dancerの0化&ネオ異系マジック)にあると考えます。

本馬の最優性先祖は祖母父の米国産馬Gleaming(6歳時交配で活性値1.50)です。形相遺伝はGleamingの母であるA Gleam(1949)と判断します。Gleamingの父Herbagerは仏国産馬ですが、母A Gleamは米国産馬です。また、本馬の料的遺伝の値は3.25です。この料的遺伝の値は、平均の4.00を下回り、1級のオープン馬としては小さい値にあります。皐月賞(GI)の前哨戦として、6週前に行われる弥生賞を選んだことは、エアシャカール陣営の良い判断であったと思います。

[最後に]
「サンデーサイレンス産駒、武豊騎手、弥生賞2着」。これらのキーワードから連想される馬といえば、アドマイヤベガ(1996.3.12)がいますね。「弥生賞1着」とすればダンスインザダーク(1993.6.5)、スペシャルウィーク(1995.5.2)になりますね。すべて後のクラシックホースとなっています……。やっぱり今年も結局サンデーサイレンス産駒なのかな。

[追記]
春のクラシック、皐月賞馬の栄冠を手にしたエアシャカール。さすがに社台の調教主任である東礼次郎氏のイチ押し馬でした。”キング・ジョージ”に出走するそうですが、どうか無事に。−2000年7月1日、追記−


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