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わたしの、とあるネット知人の方のご依頼に基づき、SILK Horse CLUBの募集馬『シルキードルチェ(旧名SILK98-60)』について中島理論的考察を行いました。ここでは、その考察報告を加筆修正したもの掲載しておきます。
以下の文中、シルキードルチェは本馬と称します。なお、導出しました8代残牡先祖数、および7代残牡先祖数につきましてはいずれも推定値です。
本馬は確かに父の16歳時交配生産馬ですが、父パレスミュージックの生年月日が1981年4月12日です。もしかしたら、活性値『2.00』かもしれません。ご注意ください。以下の文中ではすべて活性値『0.00』扱いです。
導出した値は『7/128』となりました(7代残牡先祖数は『7/64』です)。かなりの高素質馬であると思います。
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
パレスミュージック (Northern Dancer系) |
リヴリア (Never Bend系) |
Harbor Prince (St.Simon系) |
Alvaro (Hyperion系) |
父の活性値 | 母父の活性値 | 祖母父の活性値 | 曾祖母父の活性値 |
0.00 | 0.25 | 0.00+α(注1) | 1.50 |
1と2はNearcoからの分枝で、それぞれ4代孫どうしですので同族。3はEclipseからの分枝で16代孫。4はWhaleboneからの分枝で11代孫。3にネオ異系マジックが生じます。ですから、マジックは『1』保有していることになります。ゆえに本馬の潜在能力指数は『5.25(推定)』となります。
父パレスミュージックはリース種牡馬ですから産駒数は少ないです。日本供用初年度にあたる1996年は41頭に交配して産駒10頭−シーズン途中に脚部骨折によるアクシデントがあり少ない頭数となりました−、そして2年目にあたる1997年は90頭に交配して産駒68頭となっています。産駒合計は78頭です。シルキードルチェは供用2年目の産駒となります。母父リヴリアは日本で供用され5世代の産駒を残して死亡。その血を持つ繁殖牝馬は比較的少ないです。祖母父Harbor Princeはアメリカ産馬。主な勝ち鞍はポモナCBアフランボー記念(?)という8.5ハロンの準重賞レース。マイノリティの特権を持つ種牡馬です。曾祖母父Alvaroはイギリス産馬ですが、供用地がオセアニアの為、その血を持つ繁殖牝馬は極めて少ないです。以上より、本馬の闘志は優れていると判断します。
上記より最優性先祖は曾祖母父Alvaro(活性値1.50)と判断します。曾祖母父Alvaroの毛色は『鹿毛』ですが、本馬の配合が『父栗毛×母栗毛』より、本馬の毛色は『栗毛』系の『栃栗毛』に出ました。
被遺伝世代深度は、(1.50-0.00)/0.25=『5』となり、隔世遺伝の対象は曾祖母父Alvaro の父Rockfella(1941活性値1.75)と推察します。
本馬の生年月日 | 母の生年月日 | 祖母の生年月日 | 曾祖母の生年月日 | 4代母の生年月日 |
---|---|---|---|---|
1998.3.6 | 1992.4.17 | 1978.10.30 | 1972 | 1964 |
料の遺伝は、本馬1998-母1992=6で、『1.25』。母1992-祖母1978=14で、『1.125(注2)』。祖母1978-曾祖母1972=6で、『1.25』。曾祖母1972-四代母1964=8で、『1.75』。合計は『5.375』となります。
月のサイクルは曾祖母、四代母の誕生日がわかりませんのでなんとも言えませんが、少なくとも祖母までは優性卵が受け継がれているはずです。本馬、母の生年月日を見ると、だいたい『X+-7(14)』のフォーム上にあると思います。
名馬の生産国、ニュージーランドで受け継がれてきた牝系。ファミリーナンバー13-A。母マーベラスメロンは祖母の7番仔となります。祖母モリタはニュージーランドオークス(GI)の勝ち馬。主な産駒にはマーベラスクラウン(ジャパンカップ、GI=1994年)、同年のジャパンカップを一緒に走った兄グランドフロティラ(ハリウッドターフH、米GI)など。曾祖母Cathmoiはニュージーランドで18戦3勝。初仔にモリタ、不受胎後の3番仔にモリタの全妹Maurine(DBドラフトエイヴァンデイルC2回GI)を輩出しました。四代母Untried はニュージーランドで28戦4勝。初仔としてCathmoiを輩出しました。
8代残牡先祖数 | マジック数 | 潜在能力指数 | 闘志 |
---|---|---|---|
7/128 | 1 | 5.25 | 優 |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 質の遺伝 | 牝系 |
Alvaro(曾祖母父) | 5.375 | 優 | 底力はある |
以上のような総括となりました。形相の遺伝ですが、母方はオセアニア血統ですので日本の馬場でも対応できるはずです。父が輩出したCigarはダートのチャンピオンでしたが、本馬は芝向きの感じがします。料の遺伝は強大で、連戦にも耐えうる体力を持っています。月のサイクルについては自信がありません。これが最重要ポイントなのに申し訳ないのですが。
[追記]
この考察報告を書いた後にシルキードルチェの馬体、馬相などを見ました。馬体は、お尻の位置が高く、まだまだ成長途上という感じでした。しかし、頭が小さく、全体のバランスがよい印象を受けました。さらに、生産界で走る馬の象徴と言われている「左後一白(左後脚だけが白いソックスをはいているような毛色になっている)」なので、期待が高まりました。そして、なんと言っても馬相が素晴らしい。綺麗な流星が顔の中心を真っ直ぐに伸びていました。目がキリッとしている所もよいです。かなりのベッピンさんです。是非とも走って欲しいものです。2000年10月21日現在、すでに栗東・大沢真厩舎に入厩しています。
★注1(活性値の取り扱いについて其の壱)
形相の遺伝のところで、
>祖母父Harbor Prince 祖母1978-祖母父1969=9で『0.00+α(注)』。
と、書きました。
活性値が『0.00+α』となっているのは、祖母モリタ(1978年10月30日生)に対して、祖母父Harbor Princeがアメリカ産馬であるためです。北半球産馬は大部分が『1月〜6月』くらいに生まれているはずですが、Harbor Princeがもし1月生まれ等の早生まれならば、曾祖母の受胎推定日(1977年11月30日頃)には活性値が『0.25』にかなり近くなっていると推測されます。
計算が面倒なので今回は『0.00』扱いをしました。ご了承ください。
★注2(活性値の取り扱いについて其の弐)
料の遺伝のところで、
>母1992-祖母1978=14で、『1.125(注2)』。
と書きました。
祖母モリタは南半球産馬で、北半球から見れば秋仔(1978年10月30日生まれ)ですから、活性値を0.125(半年分)減算しています。
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