2000年のクラシック候補生たちを中島理論的に分析していこうという企画です。
第12回目の今回は新馬、500万下のダート戦を圧勝して現れた新星、シルクプリマドンナ号を分析してみましょう。
以下の文章中、シルクプリマドンナは本馬と称します。4代血統構成において父は壱、母父は弐、祖母父は参、曾祖母父は四と表します。
シルクプリマドンナ 牝 鹿毛 1997.4.22生 栗東・山内研二厩舎 Family No.13-C
[戦績]
桜花賞トライアル・報知杯4歳牝馬特別(GII)2着。4月3日の時点で3戦2勝。
[血統]
父は米国産のブライアンズタイム(1985.5.28)。同馬の主な勝ち鞍にフロリダ・ダービー(米GI)、ペガサスH(米GI)等。米国三冠戦線では、ケンタッキー・ダービー(米GI)6着、プリークネスS(米GI)2着、ベルモントS(米GI)3着と頂点一歩手前までの成績。通算21戦5勝。本馬は父の7年度産駒となります。父の代表産駒は、初年度産駒に日本中央競馬史上5頭目の三冠馬ナリタブライアン(1991.5.3)、オークス馬チョウカイキャロル(1991.3.26)。2年度産駒にGI4勝馬マヤノトップガン(1992.3.24)。8歳時交配の『0の遺伝』となった4年度産駒にニ冠馬サニーブライアン(1994.4.23)、有馬記念馬シルクジャスティス(1994.3.18)、朝日杯3歳S馬マイネルマックス(1994.4.13)。5年度産駒にニ冠牝馬ファレノプシス(1995.4.4)。以上、7頭のGIウイナーを輩出し、他に重賞勝ち馬多数。当代の名種牡馬の1頭。
母はバウンドトゥダンス(1986.4.12)。1993年にTeddy(1913)系の種牡馬であるTime for a Change(1981)−同馬は輸入種牡馬アジュディケーティング(1987.4.27)の半兄−の種を宿した状態で輸入。その翌年である1994年、ビワナタシュカ(1994.1.28、牝馬)を出産。同馬は22戦2勝。本馬は母の6番仔となります。牝系は、Frizette(1905)を20世紀の牝系祖とする13号族。Seattle Slew(1974.2.15)、Mr.Prospector(1970.1.28)等もこの牝系に属します。本馬はFrizette系Natasha(1952)分枝、Natashka(1963)系に属します。近親に輸入種牡馬サウスアトランティック(1980.5.14)、ステイヤーズS(GIII)の勝ち馬サージュウェルズ(1991.2.22)、愛インターナショナルS(GII)の勝ち馬Mukaddamah(1988)、愛ナショナルS(GI)の勝ち馬Heart of Darkness(1988)等、牝系近親に欧米の重賞勝ち馬多数。
本馬の8代残牡先祖数は『9/128』と推定します。4代血統構成を見ると、壱はブライアンズタイム、弐はNorthern Dancer(1961.5.27)、参はIn Reality(1964)、四はDedicate(1952)です。本馬の母バウンドトゥダンスは、弐が24歳時の交配で生産されました。弐の生まれた月日が5月27日という遅い生まれで、母の生まれた月日が4月12日です。『0の遺伝(24歳時交配)』を与えているかどうか微妙な所ですが、今回は『0の遺伝』として判断しました。参はMan o'War(1917.3.29)系の種牡馬。同馬の代表産駒にKnown Fact(1977)、Relaunch(1976)、Believe It(1975)等。重要な異系種牡馬として米国で重宝されています。四はPrincequillo(1940)の直仔。マイナー種牡馬と思います。
壱と弐はNearco系の同族圏内馬。参はMan o'War系であるため異系マジックが生じます。さらに、四が分枝後15代孫のためネオ異系マジックが生じます。本馬のマジックは『2』と判断します。ゆえに本馬の潜在能力指数は『4.5』と補正されます。本馬は、B&B理論的にかなりの高能力馬であることが分かりました。なお、本馬の4代血統構成馬の活性値が、それぞれ0.75、0.00、1.25、0.50と別数値にあることも、知的素質の向上に役立っていると考えます。中島国治著、血とコンプレックス、P270、ミホノブルボンの解説を参照しました
本馬の活力の源泉は、Northern Dancerの0遺伝、8代残牡先祖数の少なさ、血統構成の良さ、世界的名牝系の底力にあると思います。
本馬の最優性先祖は祖母父In Reality(13歳時交配で活性値1.25)です。形相遺伝は祖母のTruly Bound(1978、鹿毛)と判断します。Truly Boundの形相は、直系祖父Intentionally(1956、青毛)と判断します。アメリカンタイプの『形』が出ていますので、おそらく小回りコースやダートをより得意にすると思います。また、本馬の料的遺伝の値は4.25です。この数値は、ナリタブライアンやトウカイテイオー(1988.4.20)と同数値です。超1級のオープン馬としてはやや小さな値です。
余談となりますが、ナリタブライアン&ビワハヤヒデ(1990.3.10)の母であるパシフィカス(1981.5.29)の料的遺伝値のクレジットは『4.00』です。ナリタブライアンは母の9歳時交配で料的遺伝値『0.25』を受け継ぎました。同馬の料的遺伝値の合計は『4.25』です。一方、ビワハヤヒデは母の8歳時交配で料的遺伝値『2.00』を受け継ぎました。同馬の料的遺伝値の合計は『6.00』です。遺伝的体力という点ではビワハヤヒデの方が優れていました。ビワハヤヒデの、あの大崩しない安定性の秘密は、『6.00』という強大な料的遺伝値にも隠れていました。
[最後に]
突如現れた新星、シルクプリマドンナ。ダート戦の新馬を、メンバーに恵まれたとはいえ、2秒7もぶっちぎるとはタダモノではありませんね。クラブ募集馬のクラシック制覇となれば、それは凄いことだと思います。一口で所有なさっている方々は、今からドキドキなさっているのではないでしょうか。桜花賞トライアル・4歳牝馬特別でサイコーキララと対戦するようですが、両馬ともに本番へつながるレースをして欲しいと思います。
[追記]
桜花賞トライアル、よく頑張って2着でした。やはり並みの馬ではありませんでした。本番も頑張って欲しいと思います。−2000年4月3日、追記−
桜花賞3着から向かったオークスは1番人気。その期待に応えて見事にオークス制覇。小さな身体で大きな身体のチアズグレイスちゃんを押さえきりました。山内研二厩舎のワンツーフィニッシュ。いや、さすがに関西リーディングトレーナーと思いました。−2000年7月1日、追記−