ベルグチケット  [ Home >> B&B >> 2000年クラシック牝馬編 ]

2000年のクラシック候補生たちを中島理論的に分析していこうという企画です。
第6回目の今回はフェアリーS(GIII)勝ち馬、ベルグチケット号を分析してみましょう。

以下の文章中、ベルグチケットは本馬と称します。4代血統構成において父は壱、母父は弐、祖母父は参、曾祖母父は四と表します。


ベルグチケット   牝   鹿毛   1997.4.21生   美浦・手塚貴久厩舎   Family No.A34

[戦績]
フェアリーS(GIII)勝ち、新潟3歳S(GIII)2着。4月6日の時点で6戦2勝、2着1回。

[血統]
父はウイニングチケット(1990.3.21)。同馬は名種牡馬トニービン(1983)の初年度産駒で、第60回日本ダービー(GI)、弥生賞(GII)、京都新聞杯(GII)等を勝ち通算14戦6勝。本馬は父の2年度産駒で、初めての重賞勝ち産駒です。

母はベルグストーム(1990.2.21)。同馬は、その母ラッキーチリ(1984)がStorm Cat(1983)の種を受胎した状態で輸入された持ち込み馬です。現役時代、通算11戦1勝。本馬は母の2番仔にあたります。牝系は、「Family No.A34」が示しますようにアメリカンファミリーに所属しています。牝系の底力という点では一歩譲るかも知れません。本馬の5代母にあたるGood Blood(1942)からは、1970年に米国リーディングサイアーとなったBarbizon(1954)が輩出されました。

本馬の8代残牡先祖数は『18/128』と推定します。本馬の4代血統構成を見ると、壱はウイニングチケット、弐はStorm Cat(1983)、参はAlydar(1975)、四はNashua(1952.4.14)です。壱、弐、参、四と全てがPhalaris(1913)系に属します。同父系馬の代重ね配合が普遍的に行われる現在ですから仕方ありませんが、一本調子の配合となっていますので、競馬ぶりが単調になりやすいと思います。本馬の配合の良い所は、参のAlydarが祖母のラッキーチリに対して『0の遺伝(8歳時交配)』を与えていることによりNative Dancerの0化がなされ、弐のStorm Catの父であるStorm Bird(1978.4.19)がNorthern Dancerの『0の遺伝(16歳時交配)』を受けているため、本馬の持つNorthern Dancer4×5のインブリードが綺麗に0化されるところです。現代の飽和血脈であるNative DancerとNorthern Dancerを『ブルー0』ではなく『グリーン0』で消却している所がGoodです。

4代血統構成馬の父系分枝状況に目を向けると、
壱  Nearco(1935.1.24)の7代孫
弐  Nearcoの4代孫
参  Phalaris(1913)の6代孫
四  Nearcoの孫

上記したとおり壱、弐、参、四と全てがPhalarisからの分枝馬たちです。分枝後12代以上の馬は存在せず、ネオ異系マジックは生じません。ゆえに本馬の潜在能力指数は『18』のままです。潜在能力指数はやや大きな値となってしまいましたが、弐のStorm Catの母方に持つ先祖がCrimson Satan(1959)、Bolero(1946)、Menow(1935)というように極めつけの米国血統ですので、あまり気にする必要は無いと思います。

本馬の活力の源泉は、父母の若年期の産駒であるということ、そして飽和血脈の消却方法にあると考えます。

本馬の形相遺伝は壱のウイニングチケットと判断します。形相遺伝からは距離をこなせそうですが、血統構成からはやはりマイル戦以下の距離が適していると思います。一本調子の配合馬は、どうしても距離に対する適性が限られてくると思います(あるいは成長力に疑問符)。また、本馬の料的遺伝の値は4.50です。この数値はオープン馬として平均的な値です。

[最後に]
「内国産種牡馬の仔ども」というのは、やっぱり贔屓目に応援してしまいます。ウイニングチケットにしても、サクラチトセオー(1990.5.11)にしても、私が競馬を見始めた頃に走っていた馬たちです。そんな馬たちの仔どもが、クラシックを走ろうかというところまでやってきています。時が流れるのは早いですね。ベルグチケットも、いつかお母さんになる日が来るのでしょう。そんな時まで競馬を見ていたいものです。


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