ダイナコスモス 鹿毛 1983.3.25 種付け時活性値:1.25 |
ハンターコム 黒鹿毛 1967 |
Derring-Do 鹿毛 1961 |
Darius 1951 |
Sipsey Bridge 1954 | |||
Ergina 黒鹿毛 1957 |
★Fair Trial 1932 | ||
Ballechin 1949 | |||
シャダイワーデン 栗毛 1977.4.26 |
ノーザンテースト 栗毛 1971.3.15 |
Northern Dancer 1961.5.27 | |
Lady Victoria 1962.2.20 | |||
シャダイプリマ 鹿毛 1970.2.11 |
マリーノ 1956.3.6 | ||
ナイトアンドデイ 1962.3.28 | |||
ラセーヌワンダ 栃栗毛 1969.3.24 仔受胎時活性値:0.75 <地方0勝> [母の4番仔] |
テスコボーイ 黒鹿毛 1963 種付け時活性値:1.25 |
Princely Gift 鹿毛 1951 |
Nasrullah 1940.3.2 |
Blue Gem 1943 | |||
Suncourt 黒鹿毛 1952 |
Hyperion 1930.4.18 | ||
Inquisition 1936 | |||
ラ・セーヌ(青森産) 栗毛 1956.6.3 仔受胎時活性値:1.00 <地方13勝> [母の3番仔] |
リンボー 鹿毛 1949.4.23 種付け時活性値:1.50 |
War Admiral 1934.5.2 | |
Boojie 1943 | |||
ラシフォード(鹿児島産) 鹿毛 1942.3.12 仔受胎時活性値:1.25 <不出走> |
★アスフォード 鹿毛 1925 種付け時活性値:0.00 |
||
ラシモア 鹿毛 1934 仔受胎時活性値:1.75 |
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
ダイナコスモス (Dante系) |
テスコボーイ (Princely Gift系) |
リンボー (Man o'War系) |
アスフォード (Blandford系) |
父の活性値 | 母父の活性値 | 祖母父の活性値 | 曾祖母父の活性値 |
1.25 (5歳時交配) |
1.25 (5歳時交配) |
1.50 (6歳時交配) |
0.00 (16歳時交配) |
父の分枝状況 | 母父の分枝状況 | 祖母父の分枝状況 | 曾祖母父の分枝状況 |
Nearcoの5代孫 | Nearcoの3代孫 | Matchem〜Man o'War系 | Birdcatcherの8代孫 |
8代残牡先祖数 | 4代血統構成 (資質固定指数) |
潜在能力値 | 少ない先祖etc |
---|---|---|---|
8/128 | A A● D ★F(8) (0.66) |
5.28 | ダイナコスモス リンボー、アスフォード |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 何番仔? |
リンボー (ラセーヌワンダ) |
4.75 | フラストレート系 (No.1-B) |
14番仔 (不受胎後) |
潜在能力値は数値が少ないほど大きいことを示しています。
『轟く末脚』トロットサンダー。前々走毎日王冠3着、前走アイルランドトロフィー1着からのマイルチャンピオンシップ(以降、マイルCSと略)挑戦でした。マイル3戦3勝(地方時代を含めると5戦5勝)の実績が買われて4番人気。先に抜け出した2番人気ヒシアケボノが直線半ばで喘ぎかけたところを外から強襲、見事に重賞初制覇をGIで飾りました。鞍上は横山典弘騎手、所属は美浦・相川勝敏厩舎。ともにマイルCS初勝利でした。レースの2着には16番人気メイショウテゾロが入り、馬番連勝は104390円の超大穴配当となりました。「マイルCSは単勝1番人気馬で堅い」という神話が崩れ去ったレースでした。ちなみに、1番人気ビコーペガサスは4着でした。
ご存知の通り、トロットサンダーは中島氏の配合馬です。城崎哲氏が『恐るべきスピード遺伝子』という著作の中で、トロットサンダーを5代アウトクロス馬の代表として紹介され、その注釈に中島氏の配合馬であるということが示されました。
トロットサンダーの血統構成は、『Dante系×Princely Gift系×Man o'War系×Blandford系』となります。直父系の4代父であるDariusは、その父Danteの8歳時交配による『0の遺伝』を受けています。Danteの父はNearcoですが、0の遺伝の働きにより、クロスによる弊害は生じません。ゆえにDante系とPrincely Gift系というNearcoの同系配合でも、きれいに先祖の数を減らして資質の固定化に成功しています。また、祖母父リンボーがMan o'War〜Matchem系という異系のため、血の浄化をなしています。4代血統表を眺めただけだと、先祖がそれほど0化消却される配合のようには見えません。しかし、5代目以降で巧みにクロスが発生し、8代に残る牡先祖の数は『8/128』という少ないものになりました。さ、さすがは中島氏。
せっかく、中島氏の配合馬がGI馬になってくれたのですから、トロットサンダーの配合についてもう少し考えてみましょうか。中島氏ご自身による、トロットサンダーの配合に関する記述を引用します。
勝ったトロットサンダーの父ダイナコスモスは第46回皐月賞の勝ち馬で、代表産駒に小倉大賞典のワンモアラブウェイがいるが、GI勝ちは本馬が初めて。同馬はいまや希少価値となったDante系である。Danteはその仔Dariusを8歳時種付けで作ったので0の遺伝である。よって、Dante以前の先祖が存在していない状態なので、Nearcoとのインブリードに適している。(略)
配合的な特徴は、繁殖牝馬と種牡馬の世代ギャップである。トロットサンダーはラセーヌワンダが19歳、ダイナコスモスが5歳で生産されていて、その年齢差は14年もある。8代目に登場する種牡馬の平均生年代が1910年、繁殖牝馬のそれが1880年で30年の開きがある。こうした配合はクロスが発生しにくく良馬ができることが多い。たとえばアイネスフウジンがその典型で、父と母の年齢差は13年あった。
なお、種牡馬の母の父がノーザンテーストなのでNorthern Dancerが入っているが、主要サイアー・ラインではないのでその影響力は薄く、秋はマイルCSはもちろん天皇賞でも好走が期待できる。
−『競馬最強の法則』(KKベストセラーズ)、1996年9月号、P73より抜粋。−
この記事から3つのことが読み取れます。それは……、
Nasrullah、Turn-to、Northern Dancerらの系統が主流のNearco系の中において、Danteの系統はもはや傍流といった様相です。Dante系は、主にDariusを経た系統が父系の継承役を務めています。DanteはDariusを8歳時の0交配により送り出しました。ゆえにNearcoとのクロスを作れます。そこに「傍流のマイナーさ」が上手くかみ合えば、ダイナコスモス&トロットサンダー父仔のような良馬も産み出せるのですね。
[余談]Danteは、その母Rosy Regendを通じて日本ともなじみの深い系統です。Danteの2つ年上の半兄に輸入種牡馬ハロウェー、2つ年下の全弟にSayajiraoがいます。ハロウェーから第35代日本ダービー馬タニノハローモア、オークス&有馬記念の勝ち馬スターロッチが出ました。この両馬は、ともにハロウェーから0の遺伝を受けています。一方、SayajiraoはNearcoが8歳時の0交配により生産されました。日本に輸入された直仔インディアナは、Sayajiraoが16歳時種付の0交配を受けた名種牡馬です。天皇賞馬ベルワイド、『ハイセイコーの宿敵』タケホープ、『近親交配の極み』カミノスミレ−中島氏の配合馬−などを出しました。なお、タケホープ、カミノスミレの両馬はインディアナから0の遺伝を受けています。