2000年のクラシック候補生たちを中島理論的に分析していこうという企画です。
第19回目の今回は百日草特別(500万下)の勝ち馬、ストラテジー号を分析してみましょう。
以下の文章中、ストラテジーは本馬と称します。4代血統構成において父は壱、母父は弐、祖母父は参、曾祖母父は四と表します。
ストラテジー 牡 栗毛 1997.5.15生 美浦・田中清隆厩舎 Family No.2-D
[戦績]
百日草特別(500万下)。3月10日の時点で4戦2勝。
[血統]
父はタマモクロス(1984.5.23)。現役時代の主な戦績は春の天皇賞(GI)1着、秋の天皇賞(GI)1着、宝塚記念(GI)1着等(重賞6勝)。通算18戦9勝。同馬はその父シービークロス(1975.5.5)の『0の遺伝(8歳時交配)』を受けた名馬です。8代に残る牡先祖数は『5/128』と少なく、さらに7代に残る牡先祖数も『4/64(推定)』と少ないです。本馬は父の8年度産駒となります。父の代表産駒に、鳴尾記念(GII)、AJCC(GII)等の勝ち馬カネツクロス(1991)、神戸新聞杯(GII)の勝ち馬シロキタクロス(1993)、シリウスS(GIII)の勝ち馬マコトライデン(1994)、シンザン記念(GIII)とチューリップ賞(GIII)を勝ったダンツシリウス(1995)等がいます。産駒にGI勝ち馬はまだ出現していません。
母はパワーダッシュ(1983.4.22)。現役時代は未勝利。牝系は、日本在来牝系のひとつであるウメハル(1918)系第二ウメハル(1930)分枝、ウメヨシ系(1943)です。同系からはセントウルS(GIII)、ダービー卿CT(GIII)、根岸S(GIII)等の勝ち馬フジノマッケンオー(1991.3.11)、同馬の母で京都牝馬特別(GIII)の勝ち馬ドミナスローズ(1981)等が出ています。
関西版・『競馬ブック』の裏Homeのフォトジェニックを長く務めたドミナスクリスタル(1990.2.25)も、同牝系から輩出されました。と言うか、ドミナスローズの娘ですね。フジノマッケンオーのお姉さん。主な勝ち鞍に紅梅賞(OP)、マーガレットS(OP)。
本馬の8代残牡先祖数は『4/128』と推定します。4代血統構成を見ると、壱はタマモクロス、弐はマルゼンスキー(1974.5.19)、参はセントクレスピン(1956)、四はヒンドスタン(1946)です。壱はGrey Sovereign(1948)の仔であるフォルティノ(1959.4.19)の直系。中島氏は、タマモクロスを評して「ヨーロッパのカロ(Caro 1967年)に対抗でき得る日本産馬」と述べられていました−『競馬最強の法則』誌、1998年9月号、P87より−。弐はNijinsky(1967.2.21)の直仔で持ち込み馬。1977年当時、持ち込み馬はクラシックに出走できない規定があったため、同馬は皐月賞、日本ダービーに出走できませんでした。種牡馬としての成績は抜群で、第55代日本ダービー馬サクラチヨノオー(1985.2.19)、菊花賞馬ホリスキー(1979.4.13)、同じく菊花賞馬レオダーバン(1988.4.25)等を輩出しました。弐の生年月日(1974.5.19)と本馬の母の生年月日(1983.4.22)とを照らし合わせると、種牡馬の誕生日に活性値が『0.00』に戻るならば、母は『0の遺伝(8歳時交配)』を受けたと考えます。今回は『0の遺伝』を受けたと判断します。ゆえに本馬の持つNorthern Dancer(1961.5.27)とNative Dancer(1950.3.27)は不存の先祖となります。参はHyperion(1930.4.18)の孫で、第38回凱旋門賞(現GI)を勝ちました。この参の位置にセントクレスピンを配している近年の活躍馬に10億円馬スペシャルウィーク(1995.5.2)、2000年のクラシック候補の1頭サイコーキララ等。四はSt.Simon(1881)系。1949年の愛ダービー(現GI)の勝ち馬です。日本の名種牡馬として5冠馬シンザン(1961.4.2)、菊花賞馬ダイコーター(1962.6.8)、同じく菊花賞馬アサカオー(1965.5.12)等現在のGI級レース勝ち馬を多数輩出しました。弐の位置にマルゼンスキー、参の位置にセントクレスピン、四の位置にヒンドスタンを配しているということは、やはりスペシャルウィークと同じ組み合わせですね。
壱、弐、参はWhalebone分枝の同属圏内馬。四はEclipseの14代孫。分枝後12代以上を経ていますのでネオ異系マジックが生じます。ゆえに本馬の潜在能力指数は『3』と補正されます。なお、本馬の4代血統構成馬の活性値が、それぞれ1.00、0.00、1.75、0.75と別数値にあることが、知的素質の向上に役立っていると考えます中島国治著、血とコンプレックス、P270、ミホノブルボンの解説を参照しました。本馬は、B&B理論的にはかなりの高素質馬です。
本馬の活力の源泉は、8代残牡先祖数の少なさ、血統構成(Northern DancerとNative Dancerの0化&ネオ異系マジック&4代血統構成馬の活性値の違い)にあると考えます。
本馬の最優性先祖は祖母父セントクレスピン(15歳時交配で活性値1.75)です。形相遺伝もそのままセントクレスピンと判断します。上記しましたように同馬は凱旋門賞(2400m)の勝ち馬ですので、距離の不安はないと考えます。また、本馬の料的遺伝の値は4.50です。この料的遺伝の値は、オープン馬の平均クラスにあります。
[最後に]
「新馬、特別を連勝」というエリートコースに乗ったのですが、弥生賞は良い所がありませんでしたね。ただ、早春の時期に行われる3歳牡馬戦は難しいですから。馬体の成長度合いの差、歯替わり、冬場休養明け等いろいろと要因はあります。本馬、ストラテジーの生まれも5月15日とやや遅い時期ですから、これからの成長に期待したいと思います。