2005年クラシック世代のGI候補生たち(牝馬編)

ラインクラフト
  • 鹿毛
  • 2002.4.4生
  • 早来・ノーザンファーム生産
  • 馬主・大澤繁昌氏
  • 栗東・瀬戸口勉厩舎
ラインクラフトの4代血統表
エンドスウィープ(USA)
鹿毛 1991.5.31
種付け時活性値:0.50
フォーティナイナー(USA)
栗毛 1985.5.11
Mr.Prospector(USA)
鹿毛 1970.1.28
★Raise a Native(USA) 1961
Gold Digger(USA) 1962
File(USA)
栗毛 1976.4.30
Tom Rolfe(USA) 1962.4.14
Continue(USA) 1958
Broom Dance(USA)
鹿毛 1979
Dance Spell(USA)
鹿毛 1973
Northern Dancer(CAN) 1961.5.27
Obeah(USA) 1965
Witching Hour(USA)
鹿毛 1960
Thinking Cap(USA) 1952
Enchanted Eve(USA) 1949
マストビーラヴド
栗毛 1993.6.9
仔受胎時活性値:2.00
<中央0勝>
サンデーサイレンス(USA)
青鹿毛 1986.3.25
種付け時活性値:1.50
★Halo(USA)
黒鹿毛 1969.2.7
Hail to Reason(USA) 1958
Cosmah(USA) 1953
Wishing Well(USA)
鹿毛 1975.4.12
Understanding(USA) 1963
Mountain Flower(USA) 1964
ダイナシュート
栗毛 1982.5.13
仔受胎時活性値:0.50
<中央4勝。重賞3勝>
ノーザンテースト
栗毛 1971.3.15
種付け時活性値:0.50
Northern Dancer 1961
Lady Victoria 1962.2.20
シャダイマイン
黒鹿毛 1973.4.9
仔受胎時活性値:2.00(0.00)
<中央3勝>
ヒッティングアウェー
鹿毛 1958.4.9
種付け時活性値:1.50
ファンシミン
芦毛 1967.4.21
仔受胎時活性値:1.25
<米3勝>
ラインクラフトの4代血統構成&4代父系の活性値&4代父系の分枝状況
母父 祖母父 曾祖母父
エンドスウィープ
(Raise a Native系)
サンデーサイレンス
(Hail to Reason系)
ノーザンテースト
(Northern Dancer系)
ヒッティングアウェー
(Tourbillon系)
父の活性値 母父の活性値 祖母父の活性値 曾祖母父の活性値
0.50
(10歳時交配)
1.50
(6歳時交配)
0.50
(10歳時交配)
1.50
(14歳時交配)
父の分枝状況 母父の分枝状況 祖母父の分枝状況 曾祖母父の分枝状況
Phalarisの8代孫 Nearcoの5代孫 Nearcoの3代孫 Herod〜Tourbillon系
ラインクラフトのB&B理論的総括
8代残牡先祖数
(7代残牡先祖数)
4代血統構成
(資質固定指数)
潜在能力値 少ない血etc
17/128
(13/64)
x  A  A  E
(0.50)
8.50 ヒッティングアウェー
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 何番仔?
サンデーサイレンス
(Mountain Flower)
5.75 or 3.75 祖母が活躍馬
(No.9-F)
4番仔
(3連産目)

潜在能力値は数値が少ないほど大きいことを示しています。

[Notes]

桜花賞レコードを更新する1分33秒5の好タイムで駆け抜けました、ラインクラフト。印象的な流星を持つ才媛が第65回桜花賞馬となりました。

今回の桜花賞で印象に残るのは、やはり「同一牝系の連動する活躍」という事でしょう。先般の第35回高松宮記念では叔父のアドマイヤマックス(1999.4.10)がファンシミン一族悲願のGI制覇を果たしたと思ったら、2週間後の桜花賞−奇しくもアドマイヤマックス満6歳の誕生日−では、姪が見事に勝利を収めました。合わせて、両馬共に8枠からの発進による勝利でした。また話は少しずれますが、ラインクラフトの馬主・大澤繁昌氏の勝負服である「桃、緑星散、袖緑二本輪」は、8枠の桃色帽子と合った、なんとも桜花賞らしい色合いの取り合わせでした。

ラインクラフトの牝系は、9号族ファンシミン系。昨年の第64回皐月賞をダイワメジャー(2001.4.8)が制した際には「スカーレットインク(1971.5.5)の系統からついにGI勝ち馬が出た」と喜ばれましたが、今年はファンシミン系の番でした。社台ファームさんが1970年代に購入された牝系が、およそ30年の歳月を掛けて、2年連続して花開いたというところでしょうか。↓にラインクラフトの近親牝系図を示しておきます。

ファンシミン 1967.4.21 米3勝
|シャダイマイン 1973.4.9 中央3勝
||ダイナマイン 1980.4.30 中央7勝 新潟記念(GIII) 牝馬東京タイムズ杯(現府中牝馬S、GIII)
|||ブロードマインド 1988.4.17 中央13勝(平地4勝+障害9勝) 中山大障害・春 中山大障害・秋など障害重賞4勝
||ダイナシュート 1982.5.13 中央4勝 京成杯3歳S(現京王杯2歳S、GII) 七夕賞(GIII) 新潟3歳S(現新潟2歳S、GIII)
|||マストビーラヴド 1993.6.9 中央0勝
||||ラインクラフト (本馬)
|||ホーネットピアス 1994.5.20 中央3勝 桜花賞(GI)3着
|||アドマイヤマックス 1999.4.10 現役 高松宮記念(GI) 富士S(GIII) 東京スポーツ杯2歳S(GIII)
||マイフェイバリット 1987.4.17 中央4勝(平地1勝+障害3勝)
|||ノーザンウェー 1994.3.20 中央5勝 ブリリアントS(OP)2着

ラインクラフトの4代血統構成は『Raise a Native系×Hail to Reason系×Northern Dancer系×Tourbillon系』。ダミー血脈1系、Eclipse系2系、Herod1系のバランスが取れた組み合わせ。祖母ダイナシュートはその父ノーザンテーストが満10歳時のポイント0.5の受け渡しにより、ノーザンテーストの父Northern Dancerのポイントが0.125となり、Northern Dancerの準0化もなされています。同じファンシミン系のダイナフェアリー(1983.4.30)も名繁殖牝馬として知られています。しかし、彼女はノーザンテーストが満11歳時のポイント0.75が受け渡されており、Northern Dancerのポイントが0.1875と有数値で残っています。わずかな差異ですが、Northern Dancerが0の扱いとなっているダイナシュートの子孫が、先にGIを制する事となりました。

ラインクラフトは、母父にサンデーサイレンス(以下、SS)を持つ馬として、初めてJRAGIを勝利しました。今回の桜花賞は「直祖父もしくは母父にSSが配されている馬たちの順位闘争だろうなぁ」と考えていました。その結果が予想の馬柱でした。前哨戦を見ていると、SSの直仔よりもSSの孫が頑張っている事に目がつき、上位3頭を選んだ次第です。牝馬は、実は牡馬よりも先に、未来のハーレムの在り方を示していると考えています。SSの血を持つ馬のうち日本のハーレムで生き残れるのは、

  1. SS自身の種付けが4年目までの少頭数時に生産された牡牝を先祖に持つ馬
  2. SSが0遺伝になっている馬
  3. SSが有数値でも4代血統構成に超マイナーな血を含んでいる馬

しか無いのではないかと考えています。上記の1は、ある種牡馬の初年度から4年度位までの血を持つ子孫は、先祖となった種牡馬自身の若い活力により、飽和先祖となった血でも後世に血を残せる印象を持っているからです。ここでは例は挙げませんが、内国産種牡馬のうち、父系をつなげている馬たちの生年を確認してみるとよく分かります。ラインクラフトに話を戻すと、母マストビーラヴドはSSの2年度産駒である事が分かります。2年度までのSS産駒の血統登録数は合計133頭。まだまだ数が少なかった頃の仔です。ラインクラフトにとってSSは有数値の先祖ですが活力は失われていません。

桜花の冠を頂いて、いざ行かん樫の舞台。才媛のこれからの走りに期待します。

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