レジェンドハンター  [ Home >> B&B >> 2000年クラシック牡馬編 ]

2000年のクラシック候補生たちを中島理論的に分析していこうという企画です。
第4回目の今回はデイリー杯3歳S(GII)勝ち馬、公営の笠松所属馬レジェンドハンター号を分析してみましょう。

以下の文章中、レジェンドハンターは本馬と称します。4代血統構成において父は壱、母父は弐、祖母父は参、曾祖母父は四と表します。


レジェンドハンター   牡   黒鹿毛   1997.3.18生   笠松・高田勝良厩舎   Family No.16-A

[戦績]
デイリー杯3歳S(GII)勝ち、朝日杯3歳S(GI)2着。3月8日の時点で6戦4勝、2着2回。

[血統]
父はサクラダイオー(1984)。南関東地方で通算6戦5勝(ダート1200m〜1600m)。極めつけの超マイナー種牡馬ですね。本馬は父の7年度産駒となります。父の他の活躍馬に、テレビ埼玉杯(浦和)の勝ち馬ヘイセイベル(1991.6.10)、北斗盃(岩見沢)の勝ち馬ベストンダイオー(1993.4.18)、クイーンC(帯広)の勝ち馬ハローイーグル(1992.5.18)、中津ダービー(中津)の勝ち馬ナカツロマン(1996.4.30)等。いずれも公営所属馬です。

母はサクラソフティー(1983)。同馬は競走馬として不出走。本馬は母の10番仔。牝系は、名牝Friar's Daughter(1921)の曾孫に当たるスワンズウッドグローヴ(1960)を日本の牝系祖とする系統。近親にサクラトウコウ(1981.3.11)、サクラチヨノオー(1985.2.19)、サクラホクトオー(1986.4.3)、サクラセカイオー(1989.5.3)、サクラエイコウオー(1991.6.1)等。スターロッチ(1957)系と並ぶサクラ軍団の2大牝系のひとつと言えます。ちなみに、本コンテンツの牝馬編で紹介したサイコーキララはFriar's Daughter系の別分枝、ワラバ(1959)系の馬です。

本馬の8代残牡先祖数は『16/128』と推定します。8代残牡先祖数はやや多いのですが、父系に含まれる血には米国血統が多く、それほど気にする必要は無いように思います(7代残牡先祖数は『10/64』という推定値です)。むしろ、本馬が直父系Northern Dancer(1961.5.27)有数値の牡馬ということに目が行きます。昨年−1999年−、テイエムオペラオー(1996.3.13)が直父系Northern Dancer有数値の牡馬として、ヤエノムテキ(1985.4.11)以来11年振りに皐月賞(GI)を制覇しました。歯替わり時期に行われるGIレースとは言え、2000mのGIを勝ちきったことは中島理論使いとして衝撃的でした。同レースは2着も直父系Northern Dancer有数値の牡馬であるオースミブライト(1996.4.10)でした。テイエムオペラオーは、皐月賞以後のGI、GIIレースも鋭い末脚で好戦するのですが、どうしても勝ちきれません。直父系Northern Dancer有数値馬の弊害が出たのか、それとも鞍上の若さなのか(ごめん、竜二。同い年)。いずれにせよ、昨年は重賞レースで直父系Northern Dancer有数値の牡馬が活躍していました。

京都記念、テイエムオペラオーは見事な勝ち方でした。斤量1kg差があったとは言え、直線で競り負けてしまったナリタトップロードに、テイエムオペラオーに対するコンプレックスが生じてしまったのではないかと心配しています。−2000年2月26日、追記−

本馬の4代血統構成を見ると、壱はサクラダイオー、弐はサクラショウリ(1975.3.1)、参はネプテューヌス(1961.4.22)、四はGrey Sovereign(1948)です。壱、四はNearco(1935.1.24)系に属します。参はTeddy(1913)系の種牡馬。この参(祖母父)の位置にTeddy系の種牡馬を持つ配合パターンが割と良馬を輩出しているように思います。弐はHerod(1758)系、パーソロン(1960)の仔。第45代日本ダービー馬です。同馬の代表産駒としてサクラスターオー(1984.5.2)。本馬はGrey Sovereignの4×5のインブリードを母方に持ちますが、弐の母シリネラ(1968)が、Grey Sovereignの直仔であるフォルティノ(1959.4.19)の8歳時交配による『0の遺伝』を受けているため、インブリードによる弊害は生じません。

4代血統構成馬の父系分枝状況に目を向けると、
壱  Nearcoの4代孫
弐  Herod系
参  Bend Or(1877)の10代孫
四  Nearcoの孫

壱、参、四はEclipse(1764.4.1)系の同族圏内馬。弐はHerod系。弐が血の浄化をしています。本馬の持つ異系マジックは『1』と判断します。潜在能力指数は『12』と補正されます。なお、本馬の4代血統構成中で同父系にあたる壱、参、四の活性値がそれぞれ1.00、1.50、0.75と別数値にあることも浄化作用に役立っていると思います。さらに言えば、弐の活性値も1.75でこの4者の数値が別数値であることにより、本馬の頭脳の良さは保証されます中島国治著、血とコンプレックス、P270、ミホノブルボンの解説を参照しました。なお、Phalaris(1913)系とHerod系の配合は、よく知られているニックス配合です。

本馬の活力の源泉は、壱のマイノリティと弐の異系マジック、4代血統構成馬の活性値の違い、さらには牝系の底力にあると思います。しかしながら、上で記しましたように直父系Northern Dancer有数値の牡馬であることがネックです。歯替わり以後のレースに注目したいと思います。

本馬の最優性先祖は母父サクラショウリ(7歳時交配で活性値1.75)です。形相遺伝はサクラショウリの母、シリネラと判断します。ヨーロピアンタイプの『形』が出ていると思います。おそらく馬場の広いコースをより得意にすると思います。また、本馬の料的遺伝の値は5.25です。この数値は名牝エアグルーヴ(1993.4.6)と同じ数値です。オープン馬でも上級の値にあります。

[最後に]
『公営所属馬』というだけで、もてはやされてしまいます。人気があるということは良いことですが、レジェンドハンターに関わる厩舎スタッフの皆さん、鞍上の安藤勝己騎手は大変です。けれど、ライデンリーダー(1992.5.25)で成し得られなかった『中央の芝のGIレースの制覇』を、なんとか達成して欲しいものです。狙うは皐月賞だったのですが。故障の方は大丈夫なのでしょうか……


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